研究概要 |
平成18年度は、本研究の初年度にあたった。 1.2005年8月-9月に実施された山口県家族経営協定締結農家の個人全数を調査対象者とした「農業におけるパートナーシップの進展状況に関するアンケート調査」結果の分析・検討を行った。この調査分析は,本研究を遂行するにあたって,家族経営協定を締結している女性農業者の労働および生活全般の現状を把握するために不可欠であった。その結果を本研究目的に照らし,「男女共同参画基本計画(第2次)」の「活力ある農山漁村の実現に向けた男女共同参画の確立」の内容に即して検討を行い,第54回日本農村生活研究大会(2006.12,茨城,研究交流センター)で,粕谷美砂子・向野美緒・天野寛子の連名で,「農家の男女共同参画社会形成意識の現状-2005年山口県家族経営協定締結者に対する全数調査から-」と題して粕谷が口頭報告した。同時に,向野・粕谷・天野の連名で「家族経営協定は女性の経営参画に有効-(副題同上)」と題してポスターセッション報告を行った。調査分析の一部を「家族経営協定締結農家の女性の地位に関する調査概要」と題して『昭和女子大学女性文化研究所紀要』第34号(向野・粕谷・天野,2007.3)に掲載された。経営主世代,親世代,後継者世代の意識の世代差男女差が明らかとなった。 2.2006年9月には山口県において,上記の調査協力者の中から,5名の女性農業者およびその家族について,事例的に聞き取り調査を実施した。本調査の目的は,女性農業者グループのエンパワーメントの仕方を探ることであった。本調査の記録を作成したが,詳細な分析は,平成19年度に持ち込まれる。 3.「食農教育」の理論的枠組みの整理の第1段階として,第二次世界大戦以降の日本の食農教育における人的資源の養成の仕方・活用方法・役割に関する知見を,ジェンダー視点から分析・整理することに着手し,検討を進めている。
|