老化における肥満の影響を明らかにするために、高脂肪食誘導性肥満マウスを用いた検討を行った。実験には食餌性の肥満モデルに適したC57BL/6マウス(雌)を用いた。本年度は5週齢から1年9ヶ月齢まで高脂肪食で飼育した老齢A群、5週齢から6ヶ月間高脂肪食で飼育した後に普通食に戻し、1年9ヶ月齢まで飼育した老齢B群、5週齢から1年9ヶ月齢まで普通食で飼育した老齢C群を設定した。また若年コントロールとして7週齢のC57BL/6マウス(雌)を老齢群と同時期に解剖した。老齢A群及びB群は老齢C群と比較して著名な体重増加を示した。老齢B群は普通食に切り替え後は老齢C群と同レベルまで体重が低下した。その後解剖時まで老齢C群と同レベルの体重変化を示した。老齢A群は1年6ヶ月齢までは体重が増加したが、その後急激に低下した。 老齢B、老齢C、及び若齢群の3群の比較では、解剖時の体重、体重あたりの肝臓、腎臓、及び副腎重量は老齢B群及び老齢C群は若齢群より有意に高値を示したが、老齢B群及び老齢C群問に有意な差は認められなかった。血糖値は3群間に有意な差は認められなかった。しかしながら、体重当たりの腹膜下脂肪組織重量は老齢B群が老齢C群及び若齢群と比較して有意に高値であった。また皮下脂肪においても、老齢B群が老齢C群よりも有意に高値であった。FRAS4によって測定した酸化ストレス度は老齢C群と若齢群では有意な差を認めなかったが、老齢B群が若齢群より有意に高かった。このことから、若年期の肥満は老齢にまで影響を及ぼす可能性が示唆された。今後さらにその他の免疫・炎症因子及び脂肪細胞産生因子にっいて測定する予定である。
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