本研究は、地域の人材や施設の連携による教育に着目する研究代表者の一連の研究に位置づいており、次の三つの研究活動から構想されている。 1.教員養成学部においても取り組みやすい骨格標本、毛皮標本作成方法の開発。 2.標本とその作成法の学部・大学院授業への導入。 3.このような取り組みとその成果を広く地域社会に紹介する研修会・ワークショップの実施。 これらの活動により学校教員と動物園職員の交流が促進され、標本の蓄積が可能になり、動物学教育・研究を支える地域システムを構築していけるのではないかというのが、本研究の基本的な考え方である。 これらの研究活動を進めていくためには、関係者との協力関係が欠かせない。三年間の研究期間の初年度に当たる今年度は、協力関係の構築が最初の目標である。その上で、それぞれの研究活動について、以下の目標を設定した。 1.について、骨格標本作成法のレビュー、骨格標本作成の試行。 2.について、試行に学生の参加を得て意見を聞く。 3.について、本研究のスタートを紹介する研修会・ワークショップを開催する。 これらの目標について今年度の成果は以下のとおりであった。 まず協力関係の構築について、動物園側と遺体の貸し出し手続きを調整し、標本化の試行に向け貸し出しを受けることができた。また研究協力者によりメーリングリストがつくられ、獣医師・教員の方々と協力して研修会・ワークショップを準備することができた。 1.について、標本を袋に入れ、密閉した上で鍋に入れ加熱する方法を考案し試行した。心配された臭いは軽微ですみ、小さい骨が散逸しにくいなどの利点が認められた。 2.について、上記の試行の見学者から、臭いもなく抵抗は少ないとの意見を得たが、実際に作業するには骨格の位置関係を事前に学んでおく必要があるなどの指摘を得た。 3.について、8月に研修会を行い、51名の参加者を得た。
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