平成19年度は、昨年度の研究から得られた知見などをもとに、まず、実験レポートの継続的指導を通した形成的評価としての可能性について検討を行った。また、生徒の実験レポートの書き方に影響を与えている要素の検討を、中学校理科および中学校国語の教科書におけるレポートの書き方に関する記述に着目した分析を通して行った。その概要を以下に示す。 (1)実験レポートの継続的指導 公立中学校1年隼57名を対象に、生徒の実験レポートの指導・評価を行った。その結果、予想や方法の欄の記述については、1回の指導でもある程度改善できると考えられる。しかし、自分の予想を検証するためにはどのような結果(データ) や考察が必要なのかという、科学的思考力と密接に関わる記述については、さらに丁寧な指導を行っていく必要があるとか明らかとなった。 (2)教科書分析 現行の学習指導要領に準拠した中学校理科及び中学校国語の教科書を分析対象として用いた。そして、理科においては、実験レポートの書き方に関する具体的な解説や記述例の有無について分析を行った。また、国語においては、レポートの書き方を.取り扱った単元について分析を行った。その結果、理科のレポートは観察や実験に基づくものが多いのに対して、国語のレポートは資料調べに基づくものとなっていることが明らかとなった。このため、理科における実験レポートの考察が感想文になっている事例が多いのは、このような調べ学習によるレポートとの違いが生徒に十分理解されていないことが一因ではないかと考えられる。
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