平成20年度は、前年度までの研究に基づき、小学校及び中学校において実践的研究を行い、科学的思考力を育成する教授-学習プログラムの開発・検討を行った。その概要を以下に示す。 (1) 教授-学習プログラム開発のフレーム 科学的なレポートを作成する際には、Elements of Scientific Inquiryに相当するような要素的能力と、これらを全体的に統括するメタ認知能力とが必要になると考える。このため、具体的場面として結果と考察を記述する場面を中心に実践を行うとともに、繰り返し指導場面を設定することによって、児童生徒自身による省察を促す。 (2) 小学校における実践 結果や考察を振り返る観点を示したワークシートを用い、児童同士の話し合いを通した省察を行わせ、結果や考察を科学的な記述へと変容させるための教授-学習プログラムを実践した。繰り返し実践を行った結果、レポートの結果や考察が科学的な記述へと変容すると共に、省察を行う態度を育成することができた。 (3) 中学校における実践 生徒の実態に基づいて、レポート作成時の留意点を指導すると共に、生徒が作成したレポートの添削を繰り返し行い、結果や考察を科学的な記述へと変容させるための教授-学習プログラムを実践した。その結果、レポートの結果や考察が科学的な記述へと変容すると共に、このようなレポート作成指導を行うことによって、生徒の「解決方法を立案する能力」と「結論を出す能力」が向上することを示した。
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