1.一貫教育校に所属するものの、学校段階で異なるキャンパスにいる慶應義塾志木高校の生徒と、慶應義塾大学の大学生を臨海地に集め、2泊3日の合同生物臨海実習を実施した。高校生と大学生を縦割りに班編成し、協力して課題に取り組み、結果を最終日の成果発表会で報告し、生物への理解を深めた。この試みにより、合宿形式での実習は、学校段階で異なるキャンパスを持つ一貫教育校での生物教育において効果的な授業形態であることが示された。学校段階で敷地や校舎の異なる一貫教育校は多く存在する。今後、そのような一貫教育校において異なる学校段階間で合宿授業を行う際、参考となりうるデータが多く得られた。 2.一貫教育校の連続性を活かす実習プログラムとして、ショウジョウバエを用いた実習プログラムを発案・実施した。各学校段階にあわせた課題を設定し、慶應義塾普通部(中学校)において形態や行動観察の実習が行われ、慶應義塾大学でも文科省特色GPのプロジェクトと連携して、文系大学生が遺伝・遺伝子と表現型を理解するための実習を行った。実習で使用することとした翅形成不全変異体は、専門研究としても興味深く、その原因遺伝子を特定すべく遺伝学的、分子生物学的手法を用いて解析し、原因遺伝子が存在する染色体領域を限定した。 3.臨海実習等の副教材として、ウニ胚発生実験の際に身近に存在する物質を添加し、発生への影響をみることによって物質の生物への影響を考察する、といった環境教育実習を発案した。様々な生活物質について検討を行い、実習教材として適した物質と適正濃度を選定した。 4.一貫教育校が教養としての理科教育を身につける場として有効であるか、様々な学校形態を持つ学校に所属する学生や生徒に対し、理科認識に関するアンケートを実施することとした。協力者とともに検討を重ねて質問用紙を作成し、一部学校において実施した。
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