1.一貫教育の連続性を活かす汎用的且つ有効な実習カリキュラムを開発し、更なる充実に努めた。一貫教育校でありながらもキャンパスが異なるといった物理的な要因等によって、中・高の学校段階間による連携授業の実施が困難な場合が予想される。この問題を解決するための合同野外実習をこれまでに提案し、実施してきた。本年度は、平成18年度に実施した高・大連携から、更に規模を拡大して一貫教育の中・高・大学生の合同による夏期生物臨海実習を実施した。(1)参加した学生・生徒を班に分け、異学年同士で同一の班にする、(2)参加者全員による共同課題に加え、班毎に課題を設定して取り組む、(3)得られた結果を最終日に他の参加者にプレゼンテーションする、といった実習カリキュラムを考案して実施したところ、参加者に高い学習効果と連帯感が生まれた。 2.平成18年度に引き続いてショウジョウバエを用いた実習プロログラムを実施し、統合的遺伝学学習教材としての確立を進めた。慶應義塾普通部(中学校)では、毎年度の2年生が行なう実習教材の一つとして組み込まれた。文科省特色GPのプロジェクトと連携した形で、慶應義塾大学の文系大学生を対象とした実習で実施した。受講する学生に対し、特にどのような分野・内容について理解してもらいたいかによって使用するショウジョウバエ系統が異なってくる。それに対応すべく、現在使用している変異系統に加えて新たな変異系統を幾つか入手し、F_2世代表現型の分離比が理論値とほぼ一致する系統を見いだした。実習で使用することとした翅形成不全変異体について、だ腺染色体の観察によって、その原因遺伝子があると予想される染色体領域を明らかにした。 3.一貫教育校に所属する学生・生徒の理科認識を調査する目的で、慶應義塾大学と慶應義塾志木高等学校において理科認識に関する大規模質問紙調査を実施し、今後分析を行なっていくための集計結果得た。
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