ドイツの持続可能な開発のための教育(ESD)の促進のために、国家的プログラムとして学校教育において展開されている「BLK-Programm"21"」と「Transfer-21」について、報告書、出版された資料・教材の分析や関係者へのインタビューにより、これまでの成果と課題について検討した。第一期プロジェクトとして、1999年夏〜2004年夏にかけて行なわれた「BLK-Programm"21"」には、モデル校200校が参加し、56冊に及ぶ様々なテーマの教材が作成された。これらの教材はインターネットから簡単にダウンロードすることができるため、モデル校以外の教師による活用がなされていると考えられる。また、「BLK-Programm"21"」の課題として、専門指導者が不足していることから、2005年〜2010年に行なわれる第二期プロジェクトの「Transfer-21」では、Multiplikatorenprogramm(乗法的プログラム)と呼ばれる指導者を養成するための新しいプログラムが実施されている。このMultiplikatorenprogramm(乗法的プログラム)の概要については、日本環境教育学会第17回大会(北海道)にて報告を行った。しかし、このプログラムは、プログラムの実践に携わる機関とプログラム参加者へ時間的、経済的な負担が大きくなることが、その後のドイツでの研究者へのインタビューから明らかとなっており、この点をふまえた上で、日本における持続可能性のための教育推進へ向けた効果的なシステムの構築についてさらに検討していく必要がある。
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