研究概要 |
創造力の育成を目的とした教育方法のひとつとして、競技用の小型ロボットの開発、いわゆるロボットコンテスト(以下、ロボコン)があり、現在、大学を始めとするさまざまな教育機関や、法人、民間団体の主催で開催されている。ロボコンの学習効果には、やる気や興味関心などの自主性に関するものと、問題解決能力などの創造性に関するものがあるといわれている。しかし、これまでの研究は、やる気や興味関心に注目したものが多く、創造性に関する調査はほとんど行われていない。本研究は、これまで行なわれていなかったロボコンの創造性に関する学習効果の調査として、物理現象を捉える能力についての評価を行うことを目的としている。 平成18年度は、久留米工業高等専門学校制御情報工学科3年生を対象に、ライントレースを行うロボット製作を課題として与え、初回の授業の開始時と、最終回の授業終了時にテストを行い、物理現象を捉える能力の評価を行った。被験者の物理現象を捉える能力を評価するのに用いるテストは物理現象に関する文章問題とした。物理の文章問題は、あいまいな記述の文章から物理現象を油出するものとした。物理の文章問題を使用したのは、イメージというあいまいなものからのパラメータの抽出という点が、物理現象を捉える作業に酷似しているためである。文章中の39名に対し実験を行った結果、事後テストに欠席した1名と、事前テストと事後テストで同じテストを受けてしまった1名を除き、事前テストの平均=7.43,事後テストの平均=13.22,両側検定:t(37)=2.02,p<0.01)の結果を得た。工業高等専門学校の学生に対しても、ロボコンの授業を行うことにより、物理の文章問題の成績が向上することが確認できた
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