本研究は、高等学校を対象に、環境教育と林業教育を統合した新たな森林環境教育のあり方を提言することを目的に、今年度は1.全国の高等学校における森林環境教育活動の動向調査と2.森林関連学科での森林環境教育の現地調査を実施した。 1.全国の高等学校における森林環境教育活動の動向調査 文部科学省の報告をもとに総合学科高校について調査を実施した。その結果、総合学科高校(平成16年度までの開校248校)の48%が環境に関する科目を開設している状況を明らかにした。環境に関する科目を開設している学校の半数が農業高校を前身に持ち、半数が普通高校であった。 2.森林関連学科での森林環境教育の現地調査 森林関連学科の現状を全国高等学校森林・林業教育研究協議会の資料をもとに全国の動向を調べた結果、学科改変や総合学科への移行が進んでいる現状を明らかにした(林業科の数:57校(平成元年)から7校(平成18年))。林業科と森林関連学科での森林環境教育の状況について文献資料および聞き取り(9校)調査を実施した結果、教育の内容は従来の林業教育に加えて「林業・森林体験」「文化・ものづくり」「自然観察」「環境教育」「野外教育・活動」「観光・レクリエーション」「進路・ボランティア」があることを明らかにした。また、総合学科へ移行した4校の聞き取り調査を実施した結果、森林関連の専門科目数、受講生数、専門教員数、施設維持のための時間が減少し、専門性の維持が難しい実態を明らかにした。
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