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実物資料に実際に触れることができ、学芸員という専門の研究者を抱えている博物館は、子どもたちの「学ぶ力」「考える力」「生きる力」を育むのに理想的な場であるといえる。しかし実際の博物かを見渡してみると、博物館を最も有効に活用して学ぶことができるはずの小学校高学年〜中学生に利用率は低いと言わざるを得ない。地域の小学校高学年〜中学生が休日に積極的に参加できるような草の根科学教育を実施し、科学教育の裾野を広げることが重要である。本研究は、博物館の利点を生かした草の根地学教育のケーススタディを実践するとともに、研究を進めるなかで得られた手法や成果を学校などに向けて広く発信することにより、博物館による科学教育の更なる可能性を実証することを目的としている。
科学的な物の見方や考え方を身につけさせ、物理、化学、生物分野も包括した総合的な「科学の目」を養うことを目標として、初年度である平成18年度は次のようなケーススタディを実施した。地層や現世干潟の簡易的な剥ぎ取りやボーリング等を行ない、室内でじっくり観察できる地層の実物資料の収集と、子どもたちのへの資料の演示を行なった。体験を通して「科学の目」を養うために、ペットボトルやカラーサンドを使った堆積実験や、パンニング皿を等を使った比重差による鉱物分離実験を、講座やイベント等の場を利用して、子どもたち一人一人に体験させた。また、大型の堆積実験用水路(長さ3.6メートル、幅10センチメートル)を設計および製作して、砂粒が「動く」「たまる」といった現象を目の前で再現し、その物理現象をじっくり理解させるプログラムを、画工教育現場とも連携を取りつつ実施した。
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