本研究では、熟練者の視線情報を活用し、既存のビデオ教材などと比較してより有効な技能の継承を支援するシステムの設計と開発を行うことを目的としている。そこで、視線を利用することのできる新たな技能継承支援システムの設計と開発、システムを利用した教材の作成を行った。 開発したシステムは、1)技能記録サブシステム、2)教材作成サブシステム、3)教育サブシステムの3つのサブシステムからなる。これらのシステムは、Java、JMF、SAX等を利用して作成した。 技能記録サブシステムは、熟練者の技能として、視野の映像と視線情報の獲得を行うシステムである。視野の映像はaviファイル、視線データはバイナリファイルで保存される。視線の計測は、眼球撮影用の眼球カメラと、視野映像撮影用の視野カメラが取り付けてある装置を開発して行った。教材作成サブシステムは、熟練者によるアドバイスなどの文字情報を映像データ等とともに統合して教材を作成するシステムである。アドバイス情報はXMLファイルで記録することとした。教育サブシステムは、作成した教材を利用して学習を行うシステムである。学習者にとってその時その時により必要な情報だけを提供できるようにずるため、映像の再生速度に応じてアドバイスの表示数が変更される機能を開発した。この機能により、学習者は、スルー再生では詳細情報を、早送りではアウトライン情報を得ることが可能である。 システムの動作を確認するために、フランジ締結作業とコーヒーの入れ方を例として技能を記録し、教材作成を行った。今後の課題としては、開発したシステムによる教育効果を実験により確認することである。
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