本研究は、熟練者の視線情報を活用し、既存のビデオ教材などと比較してより有効な技能の継承を支援するシステムの設計と開発を行うことを目的としている。昨年度は、視線を利用することのできる新たな技能継承支援システムのプロトタイプの設計と開発、システムを利用した教材の作成を行った。今年度は、視線計測部の改良、教材の記述形式の改良、ロープワーク(ロープの結び方)を対象にした教材作成のためのデータ取りを行った。 視線計測部については、カメラを取り付けたヘッドセットのずれが問題になつていたので、ずれを計測するアルゴリズムについて検討を行った。 教材記述形式については、昨年度開発したシステムでは、教材に利用するアドバイス情報などをXMLで記述していた。しかし、特殊な形式であったため非常に分かりにくいものとなつていた。そこで、今年度は、記述形式の全面的な見直しを行った。まず、マルチメディアプレゼンテーション記述の標準であるSMILのサブセットを実装しマルチメディアコンテンツプレイヤーとした。それに対して、技能継承のための視線情報を利用できるように拡張を行うことにより、要求される機能を実現した。標準形式を利用することにより拡張性が向上した。 教材作成のためのデータ取りについては、ロープワーク(ロープの結び方)を対象とした教材を作成するためにデータ取りを行った。ロープとロープを結ぶ方法、棒にロープを結びつける方法など数種類の動画像を、航海士を対象に撮影した。
|