研究概要 |
本年度は,以下の通り,研究を実施した. a)概念整理過程のモデルを,1)抽出(学習内容に関する配布資料からの重要語句の抽出),2)重要度判定(抽出した重要語句の重要度の判断とラベリング),3)構造化(関連する重要語句を矢印で結んで関連づけながら空間配置)の3段階から構成されるものとして暫定的に定義した. b)概念整理に着目したノート表現法を,コンセプトマップをベースにして考案し,紙上で表現する際に用い為紙カードと,コンピュータ上で表現するための専用ツールを開発した. c)具体的な指導法として,概念整理が苦手である学習者が,得意な学習者から,彼らの視点や観点,方略を学び取ることができるように,1)個人セッション,2)協同セヅシゴンの2セッションを設けて,考案した.まず,学習内容について,資料を配布した後,教師がそれに基づいて説明する.学習者はその説明を聞きながら,個人セッションで,ノートテーキングを行う.次に,協同セッションで,複数人の学習者がグループを組み,各々が作成したノートを持ち寄って,グループのノートを作成する. d)中学校での授業実践では,指導法を評価するために,事前・事後の知識テストと,質問紙調査,インタビゴー調査を実施した.その結果,構造化における「関連する重要語句の結びつけの精度」が向上するとともに,「空間配置(概念構造)の妥当性」が向上していた.向上がみられなかった一部の学習者については,読解力の不足が原因であるごとが明らかになった. e)大学での授業実践では,主観的な効力感について質問紙調査によって評価したところ,概ね高い評価が得られた. f)概念整理過程の暫定モデルの精緻化と,読解力を高めるための方法の考案を目的として,大学生を被験者とした実験を行った(分析中). 来年度は,概念整理過程モデルを精緻化し,読解力の育成方法の考案した上で,指導法の改善を行う予定である.
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