研究概要 |
本年度は、18年度の構築したシステムを基盤とし、データの蓄積および検証用のシステムの運用を主たる目的とし実施した。 1. 認識率の問題:10講義で音声認識技術を活用した教育支援を実施し検証をおこなった。認識率に関しては、話者依存性、講義依存性、音響依存性などにより60%〜80%の間でばらっきが見られた。また認識率向上のためリスピーク方式のシステムの開発を進めた。これらの取組により、リアルタイムキャプションのためには,特定語彙(語尾や主語、数値など)の認識率担保が必要であり、話法のガイドライン研究が必要であることが明らかになった。 2. 編集の問題および科目特性:授業担当教員の研究室に所属する大学院生等が編集作業を依頼し、その編集作業そのものの教育効果などヒアリングを行った。大部分の編集者が教育効果を感じているが継続的な検証より効果的な編集方法の開発が必要である。また編集方法に関しては、一言一句正確に編集を行う方法に加えて、要約して編彙を行う方法の検証を進めている。このことにより編集負担の軽減、リスピーク方式への示唆など様々な効果が期待できる。科目特性に関しては、理系科目と文系科目において大きな差異がみられている。専門用語の違いに加えて、数式への対応など分析すべき課題が明らかになった。 3.字幕付マルチメディア教材としての教育効果・情報保障としての効果:WEB配信におけるユーザーインターフェイスの簡便化が必要であった。本研究の成果を踏まえて、協力企業である目本IBM社にユーザーインターフェイスの改良を提案した。アンケート調査により教育効果、情報保障の効果は明らかになったが、利用率と編集方法との相関など不明瞭な点が残されている。
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