本研究は授業場面を通じて、子どもたちが学習方略をどのように獲得していくのかを明らかにすることを目的としたものである。学習方略を適切に身につけることは、高い学習成果を上げることと結びついていると考えられるが、昨今、高等教育の場面においても適切な学習方略を身につけられていない学習者の存在が問題となっている。そこで、学校生活の始まりである小学校をフィールドとし、方略獲得がどのように行われているのかを明らかにしたい。 本研究では、小学校における授業を観察し、教師の教授活動および子どもたちの学習活動を記録することにより、子どもたちがどのような学習方略を持っており、それらはどのようにして身につけられているのか、学習成果とはどのように関わっているのかについて検討する。その際、教師の発話記録、板書情報、子どもたちの発話、ノートや配布物への書き込みなどを手がかりにする。また、外に現れにくい認知面についても探るために、学習方略に関する質問紙調査も併用し、認知面、行動面の双方から探っていくこととする。 さらに、教師の関わりによる影響や子ども同士の関わり合いによる影響についても探ることにより、学習方略を適切に身につけさせる環境をどのように整えていくのかといった点から教授活動の改善をはかっていきたいと考えている。 これらにより、教室の中で実際におこっている活動の中に含まれた教授方略獲得の過程を明らかにしていくこととする。
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