研究概要 |
工業高等専門学校において、工学の専門科目を学ぶ際にどのように数学が使われているかを、電気系科目の教科書を中心に調査した。また、工学系に必要とされる数学についての先行研究(日本数学教育学会高専・大学部会誌など)を調査した。数学のカリキュラムと専門科目のカリキュラムを比較すると,数学では未学習の事項が専門科目で使われることがある。逆に,既に数学で学習した事項であっても定着していないことがあり、結果として十分に使いこなせているとは言えない状況である。その原因として、数学の授業において専門科目で具体的に数学が使われる場面の教材を扱うことが不足していること,専門科目の授業においては数学的理論の説明が不足していることが考えられる。 そこで、数学担当教員と専門科目担当教員の連携のあり方を考察し,電気実験の内容を理論的に理解するための「総合授業」を実践した。それは1つの授業を専門学科の教員と数学の教員が一緒に行うというもので、まず専門科目教員が既に行った基本的な電気実験の内容やポイントを再確認し、その後実験の中に出てくる数学の内容について、数学の教員が理論面で説明するという形式で行うものである。このことにより、電気系の専門科目の中に出てくる数学の内容と、一般教養で学んでいる数学の内容が、学生の中で融合したことがアンケート調査によりわかった。 また,専門科目の理論を学ぶ際には、数学的モデル化の過程を援用し,現象を数式化し、数学的処理により数学的結論を得た後、それを検証するという過程によって、数学と専門科目の双方の理解度が向上することがわかった。次年度は、モデリング能力を向上させるために、工学を題材とした数学の教材を開発したいと考えている。
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