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2007 年度 実績報告書

炭素14法を利用した古筆切の伝承筆者と書跡史学的年代との相違に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18700677
研究機関名古屋大学

研究代表者

小田 寛貴  名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 助教 (30293690)

キーワード古筆切 / 伝承筆者 / 炭素14
研究概要

古筆切とは,掛軸の題材などに利用された古写本の断簡である.平安・鎌倉時代に書かれた写本が完本として残っていることは極めて稀である.そのため,断簡とはいえ,稀少な平安・鎌倉写本の内容や筆跡を伝える古筆切には高い史料的価値がある.古筆切にはその筆者名を記した極札という鑑定書が付されている.しかし極札は16世紀末以降に添付されたものであり,時代の古いものや歴史上有名な人物の筆とされるものほどその根拠は薄い.さらに,書風・字形・奥書など書跡史学の視点からは,極札の伝承筆者とは異なる人物や時代の書と考えられる古筆切も存在する.それゆえ,古筆切の高い史料的価値も潜在的なものにとどまることが多い.そこで本研究では,まず,極札に西行・藤原定家など有名な人物の名が記されている古筆切の^<14>C年代測定を行い,それらが伝承筆者の活躍した時期のものであるか後世の写し・偽物であるかの判定を行った.次に,書風・奥書などと極札の記載に矛盾ある古筆切の^<14>C年代測定を行った.例えば,今城切とよばれる古筆切は,極札には飛鳥井雅経(1170-1221)とあるが書風・奥書からは藤原教長(1109-1180頃)の筆と判断できるものである.測定の結果,藤原教長の時代の書であることが示された.また,藤原俊成筆と伝えられる古筆切には,壮年期の筆とされる顕広切,やや時代が下った頃の御家切,晩年期とされる了佐切がある.しかし,年代測定により求められた新旧関係は全く反対の結果となり,特に顕広切については別人の手になる俊成風の書であることが示された.こうした年代に疑問のあった古筆切について測定を行う一方で,円山切・東大寺切・類従歌合切をはじめとして年代の判明している古筆切の測定を行い,^<14>C年代測定法が古筆切の書写年代判定法として有効な手法となることを検証した.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Radiocarbon age of the Kohitsugire calligraphy and the Kiwamefuda certificate2007

    • 著者名/発表者名
      Oda, H.
    • 雑誌名

      Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B 259

      ページ: 374-377

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 加速器質量分析法による歴史時代資料の14C年代測定-和紙資料の測定を中心に-2007

    • 著者名/発表者名
      小田寛貴
    • 雑誌名

      国立歴史民俗博物館研究報告書 137

      ページ: 227-243

    • 査読あり
  • [学会発表] 古文書・古筆切の放射性炭素年代測定2007

    • 著者名/発表者名
      小田寛貴
    • 学会等名
      第51回放射化学討論会
    • 発表場所
      静岡県コンベンションアーツセンター
    • 年月日
      2007-09-26

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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