研究概要 |
本研究は,関東平野西縁より北西-南東方向に直線状に延びる平井断層,櫛引断層,深谷断層,綾瀬川断層などを,関東平野を縦断する一連の断層帯と捉え,分布や変位様式を再検討するとともに,地質構造としての中央構造線との関連を検討し,同様の地質構造をなす四国の中央構造線活断層帯との比較を通して,東北日本の中央構造線活断層帯の活動特性を明らかにしようとするものである。具体的には,これまで断続的に分布し,縦ずれ断層として報告されている活断層を,沖積面の微小な変位地形や横ずれ変位に注目して再検討し,その分布や連続性,変位様式を明らかにするとともに,段丘開析谷などを用いて横ずれの平均変位速度を検討する。また,四国の中央構造線活断層帯と比較しながら,断層変位地形の出現形態の特徴を地質構造と関連させながら検討し,活構造の異なる環境での断層地形の違いについて議論する予定である。 今年度は,撮影年代や縮尺の異なる空中写真を用いて,関東平野の中央構造線活断層帯全体の地形判読を行い,活断層分布の概要を把握した。吉見丘陵から高崎の北西に延びる連続した逆断層とともに,関東山地の山麓に沿って断続的に横ずれ断層が延びていることが明らかとなった。また,大宮台地では,北北西一南南東方向に変位地形が断続的に認められ,プレッシャーリッジ状の高まりや開析谷の横ずれ地形が認められることが明らかとなった。大宮台地の南の草加から東京都足立区の沖積面には,自然堤防を変位させていると思われる高度の不連続が確認できた。これらの変位地形のうち大宮台地以南を対象に,地理情報システム(GIS)を用いて,国土地理院発行の数値地図(標高)5mメッシュを分析し,変位地形の地形計測を試みた。また,自然地形の残る古い空中写真をGISに読み込み,任意の場所で断面測量を実施する手法について検討した。
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