・平成18年度に実施したネパール中南部ブトワル市でのトレンチ掘削調査の学会発表および論文投稿準備 年代測定結果をふまえて、この地域におけるヒマラヤ前縁帯活断層の最新活動について検討し、最新活動時期が1630AD〜790BCであること、スリップ量が約8mであることを明らかにした。この結果について、地球惑星連合大会にて発表し、現在論文の投稿準備を行っている。 これまでヒマラヤ前縁帯活断層の最新活動に関するデータは、ネパール西部および東部で解明されてきたが、本研究によって両者の空白域である中部に関するデータを付与することができ、長大な逆断層系活断層の挙動の解明に貢献した。またこれまでヒマラヤ前縁帯活断層は地表に生じていないとする見解も、この調査によって改められることになった。 ・インド・アッサム州におけるトレンチ調査および地形地質調査の実施 平成19年12月から翌年1月にかけて、インドアッサム州テズプール市北部においてヒマラヤ前縁帯活断層の最新活動の時期や活動量を解明するため、ショベルカーを用いたトレンチ調査およびレーザー測距による地形調査を実施した。その結果、最新活動時の断層変位を示唆する高さ10mの断層崖が認められ、トレンチ掘削調査によって表層の未固結河川性堆積層を切る明瞭な断層が認められた。これまで、この地域でのヒマラヤ前縁帯活断層に関するデータは全くなかったが、本調査により、最新活動時期や変位量に関する新しいデータを得ることができた。
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