19年度は、空間的均質性、生業的同質性、自然環境的同質性の分析とその「階層性」を考慮した分析手法の開発を目標とした。まず、生業的同質性の分析の前提となる報告書情報の定量分析からみた位置付けについて整理を行なった。その結果、属性情報からみた地域の階層性には、空間的偏りの前に遺物の持つ意味的な階層性を考慮する必要性があることが暗示された。そのため、形態素解析と約6000語からなる縄文用語シソーラスをベースとして分散した発掘報告書からの属性情報抽出を行ない、縄文時代関連用語の抽出とその集計を試みた。集計結果はGISを用いて空間分布とその偏りとして表現し得たが、属性情報を階層的に集約するための適切な基準については20年度の課題として残された。自然環境的同質性についてはDEM、地形分類図などを用いた統計的分類を行い、地域の類型化を行なった。クラスター分析時の分類数の違いによる類型化を基本として階層性を表現することとした。以上、19年度の目標は、個別の分析方法・結果まで試行し達成することができた。これら個別分析手法の統合とシステム的な実装は20年度の課題として持ち越された。
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