本研究は、新規一分子イメージング技術を使った実験結果をもとに、真の生体分子およびその動きを学べる視覚教材の開発を目的としている。平成20年度では、酵素反応等の生命現象について走査型プローブ顕微鏡を用いて直接分子レベルで観察した実験結果に基づいた視覚教材の開発を行った。地域の高等学校や本校の附属小中学校、教員養成課程において開発した視覚教材を用いた授業を実践し、対象者別の学習効果を調査した。また、豊かな学習効果をもつ視覚教材の実現のため、既存の視覚教材との比較などから改善を繰り返し、学習効果を高める教材の完成を目指した。さらに、へき地指定学校や各家庭など様々な場で活用可能な発展性が期待できるためITを効果的に活用する方法を検討した。こうした教材化と同時に、コンテンツのさらなる充実を図るため、生命現象の重要かつ興味のある実験を継続して行った。その他に、現職教員向けの研修会を開催して、開発した視覚教材の普及を行った。本研究は、本物を知る理科教員の育成に大きな効果を生み、小・中・高の学校教育や大学等の高等教育などに質の高い教育機会を提供することができる手段のひとつと評価できる。
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