研究課題
本研究においてはO_2濃度の高精度測定の維持は不可欠である。そこで、測定装置の調整を継続し、安定した精度の維持を図るとともに、昨年度に確立した手法によりO_2標準ガスを製造し、現有の標準ガスに足して繰り返し検定を実施し、値の安定性の確認を行い、実際の分析に供した。また、標準ガスを安全に保管し、室温の変化によるシリンダー内でのO_2とN_2の分別を避けるために、シリンダーを横置き静置する断熱した収納ラックを製作し、実用化した。これらの技術的改良を基に、地上基地や航空機を利用した系統的な対流圏大気の採集を継続し、O_2濃度とCO_2濃度の高精度分析を実施した。また、これまでにアーカイブされてきた大気試料の分析も行い、O_2濃度の長期にわたるデータベースを作成した。作成されたデータベースをCO_2濃度データとともに用いて、予備解析を試み、近年の人為起源CO_2の収支を評価・検討した。平成19年5月に三陸大気球観測所で実施された成層圏大気の採集実験に参加するとともに、これまでに三陸上空や南極上空、北極上空で採取され保存されていた成層圏大気試料の分析を行った。この際、成層圏における大気成分の重力分離を明らかにするために、N_2とO_2の同位体比も同時に分析した。N_2と0_2の同位体比の分析結果から、成層圏においてすでに重力分離が生じていることを初めて見いだし、2002年に北極上空の成層圏下部で行われた航空機観測の結果とともに、Geophys. Res. Lett.に2編の論文として公表した。
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Geophys. Res. Lett. 35,L03812
ページ: doi:10.1029/2007GL031526
Geophys. Res. Lett. 35,L03811
ページ: doi:10.1029/2007GL030456