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2007 年度 実績報告書

「メイオベントスは海底への酸素供給に重要な役割を果たす」仮説の検証

研究課題

研究課題/領域番号 18710021
研究機関独立行政法人海洋研究開発機構

研究代表者

小栗 一将  海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 技術研究主任 (10359177)

キーワード堆積物-水境界 / 二次元オプトード / ベントス / 酸素 / 拡散 / バイオイリゲーション
研究概要

昨年度に引き続き,今年度も二次元オプトードを使い,堆積物-水境界における酸素濃度分布の可視化を行った。今年度は、海洋研究開発機構の「なつしま」NT07-19航海において、下北半島沖水深970mの海底をフィールドとした調査を行い,ここで酸素濃度の二次元プロファイルを測定した。同時に,ベントスの分布と酸素濃度分布の関係を調べた。ROVによる海底観察の結果,この海底で最も多く見られたベントスはクモヒトデであり、生息密度もきわめて高いことが明らかになった。また,水中の溶存酸素濃度は37.7μM(0.85ml/1)と低く,酸素濃度分布の二次元プロファイルから,生物撹乱が及んでいない箇所では,表層からわずか3.5mmの深さで酸素が枯渇することが分かった。しかし,クモヒトデによる海底の撹乱によって,幅数cm,深さ7mm以上の範囲に酸素が供給されることが明らかになった。すなわち,下北半島沖の海底では,低酸素濃度であるにもかかわらず,堆積物-水境界内はクモヒトデの活動によって酸素が積極的に供給される状態にあるため,有機炭素の好気分解が活発に促進している可能性がある。一方,相模湾西部の海底は酸素濃度が51μM(1.15ml/1),酸素が枯渇するまでの深さは5〜7mmであり、主なベントスもゴカイであった。ゴカイはクモヒトデと異なり,海底を撹乱する範囲はクモヒトデより狭いが,ポンピングによって巣穴の中に新鮮な海水を取り込むため,酸素は数ミリという範囲内の深さ1cm以深まで供給されるという特徴がある。以上の観測、解析結果から,底生生物の種類と活動様式の違いが,海底における親生物元素の循環過程,とくに有機炭素の好気分解過程に大きな影響を与える可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] In situ measurement of time-series two dimensional O_2 distributions at sediment-Water interface using a planar O_2 optode system connected with a suhmarine cable.2007

    • 著者名/発表者名
      Oguri, K.
    • 雑誌名

      Proc.International Workshop on Scientific Use of Submarine Cables and Related Technologies 1

      ページ: 367-370

  • [学会発表] 堆積物一水境界における酸素濃度分布イメージからみた海底環境:古海洋学と現行堆積学の接点をさぐる2008

    • 著者名/発表者名
      小栗 一将
    • 学会等名
      2007年度古海洋学シンポジウム
    • 発表場所
      東京大学海洋研究所
    • 年月日
      2008-01-07
  • [学会発表] 市販のデジタルカメラで水環境の酸素濃度を可視化できるか2007

    • 著者名/発表者名
      小栗 一将
    • 学会等名
      第三回学際領域における分子イメージングフォーラム
    • 発表場所
      早稲田大学国際会議場
    • 年月日
      2007-11-13
  • [学会発表] In situ measurement of time-series two dimensional O_2 distributions at sediment-Water interface using a planar O_2 optode system connected with a suhmarine cable.2007

    • 著者名/発表者名
      Oguri, K.
    • 学会等名
      7th International Workshop on Scientific Use of Submarine Cables and Related Technologies
    • 発表場所
      東京大学生産技術研究所
    • 年月日
      2007-04-19
  • [学会発表] 下北沖表層堆積物の酸素濃度分布と底生生物群集について2007

    • 著者名/発表者名
      小栗 一将
    • 学会等名
      Blue Earth'O8
    • 発表場所
      横浜市立大学
    • 年月日
      2007-03-14
  • [学会発表] Geochemical observations and seafloor network(s)2007

    • 著者名/発表者名
      Oguri K.
    • 学会等名
      International Workshop: What can be done with seafloor observation networks
    • 発表場所
      海洋研究開発機構東京事務所
    • 年月日
      2007-03-11
  • [産業財産権] 観測装置2008

    • 発明者名
      小栗 一将
    • 権利者名
      海洋研究開発機構
    • 産業財産権番号
      特願2008-54891
    • 出願年月日
      2008-03-05

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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