研究課題
植物に関してイネ科、マメ科、タデ科を中心にカドミウムおよび鉛に注目した研究を行った。動物はマングースの水銀蓄積、タイワンリスの銅およびハイテク材料である超微量元素の蓄積を中心に、昆虫など生態系全体を通した解析も行った。植物に関してはイネ科、マメ科、タデ科の各数種を用い、金属曝露した条件の栽培試験を行い、基礎データを収集した。とくに、エンバク類およびクロタラリア類は、カドミウム蓄積において近縁種で耐性を有する蓄積種と高感受性の非蓄積種を見いだし、耐性種のカドミウム蓄積には、鉄やカルシウムといった低毒性・必須元素およびそれらと関係したメカニズム(トランスポーターやチャネル)が関係していることが明らかとなった。タデ科ではとくにソバ類で鉛の高蓄積種と比較的蓄積しない種を見いだした。動物では、奄美大島でジャワマングースのサンプリングを環境省および鹿児島大学との共同研究で実施した。また、台湾のタイワンリスにハイテク産業と関連した超微量元素汚染が存在する可能性が見いだされ、とくに大気経由で肺に、カドミウム、ヒ素、ガリウムの特徴的な蓄積を見いだした。ジャワマングースに関しても同様の検討を行ったが、本種の水銀蓄積に大気経由の曝露源の負荷が関与している可能性は低いと結論された。昆虫類ではアリやナナフシ等、一部のグループにヒ素やガリウム等、特殊な濃縮傾向がある可能性が示唆された。資料収集の目的で国内で数カ所、および中国の研究者と打ち合わせ等ミーティングも行った。中国では富カルシウム地域に分布する植生の毒性元素蓄積の可能性を探りたい。化学分析は、ICP-MSによる微量元素分析を中心に、液体クロマトグラフィー法を行える環境を整備し、解毒に関わるスーパーオキシドジスムターゼなどの酵素活性や、ファイトケラチン、メタロチオネインなど高濃度蓄積に関わる各種タンパクの発現などのパラメーターを分析した。
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