研究概要 |
本研究課題は、東アジア独自の乾性沈着推計手法(沈着速度パラメタリゼーション)を開発し、当該地域における酸性・酸化性物質の乾性沈着の実態を明らかにすることを目的としている。 平成19年度は、前年度に引き続き乾性沈着推計手法の開発のための知見を集約するため、欧州越境大気汚染監視評価プログラム(EMEP)のモニタリングセンターの役割を担っているノルウェー大気研究所(NILU)および当該分野で先進的な研究を行っているオランダエネルギー研究センター訪問し、最新の情報を入手するとともに、本研究課題の進捗状況を説明し議論を行った。欧州調査結果は、日本土壌肥料科学雑誌に投稿した。さらに、前年度から集約された日本、中国、タイおよび欧米における最近の知見を総説「東アジアにおける乾性沈着フィールド研究」として取りまとめ、大気環境学会誌に投稿した。 次に、取りまとめられた知見に基づいて、沈着速度のパラメタリゼーションを東アジアに適したものに更新した。パラメタリゼーションを構築するにあたり、特に、二酸化硫黄とアンモニアの湿潤表面への取り込み促進効果、粒子成分の森林への沈着速度推計法に留意し、表面抵抗の改良を行った。さらい、これらの改良に伴い相対的に空気力学的抵抗の推計精度が重要になることを考慮して、そのパラメタリゼーションの精緻化を行った。平成18年度に引き続き、関連分野の研究者を集めて研究会を開催し(第5回大気沈着研究会,明星大学,2008年2月)、研究成果の発表および議論を行った。
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