研究概要 |
研究次年度の平成19年度では,日本全国の主要水系における淡水魚類を対象とし,以下の点について研究を進展させた。モデルインプット用のデータベース構築では,昨年に引き続き,国内で独立して整備されてきた次の4分野の統計量を統合化した。1)日本全国淡水魚類(水辺の国勢調査魚介類,1990〜2002年,全魚種,全調査ポイント)。2)ダムによる流域分断データ(4世紀以後の国内全ダム,分断化流域・分断後の経過年数)。3)日本全国流域圏水質(公共用水域水質データ,1973〜2002,全分析項目,全調査ポイント)。4)生息地環境情報(全国1kmメッシュ:気象,標高,河川勾配,集水面積等) 潜在生息地のポテンシャル推定に関する分野においては,対象となる種の生息地における環境属性データを基に,生息適地ポテンシャル推定モデル(一般化線形回帰モデル)を作成した。さらに,対象種の生息地条件として必要な環境制限項目を統計解析に基づいて決定した。最後に,各環境項目の重要度を各パラメータの係数(寄与率)として分離・定量化した。 上記の一連の処理を環境省レッドデータに含まれるほぼ全ての淡水魚に対して適応し,生息地評価モデルを作成した。この一連のシステムから得られた結果により,過去25年にわたる生息地ポテンシャル変化の数値化が実現した。さらに,生息地ポテンシャルの変化を日本全国規模で解析し,絶滅危惧種が,どこで・何の生息地条件によって生息地ポテンシャルを変化させたのかを明らかとした。研究成果の主たる部分を,今年度は下記国際誌に投稿し,受理された。 【誌上発表】 S. Kameyama, M. Fukushima, M. Han and M. Kaneko: (2007)Spatio-temporal changes in habitatpotential of endangered freshwater fish in Japan, Ecological Informatics. Vol. 2/4, pp 318-327.
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