研究課題
平成20年度は、前2ヵ年の研究成果を踏まえて調査を行った結果、以下の点を明らかにした。第1に、循環型経済に関わる政策のうち、産業間の副産物利用の促進政策は、中国では生態工業園区というパイロット事業方式で開始され、その後各地に拡大され、また循環経済推進都市というパイロット事業方式が始まるなど拡大傾向を見せているのに対し、タイではマブタプット工業団地でのパイロット事業のみで他に拡大しなかったこと、この理由として、中国とタイの産業間の副産物利用の促進政策は、共通して貿易自由化の進展を背景に副産物利用企業の誘致し、そのことで地域での産業集積を通じた環境負荷の削減を目指していたものの、タイでは地域の産業集積が大きくなりすぎ、副産物利用促進のみでは地域環境の保全が困難になったことである。第2に、特定有害物質使用禁止指令に関しては、中国は独自の法律を制定し、タイは制定しなかったが、この理由として、外国製品に対する国内製品の保護の考えの相違があったこと、にもかかわらず、両国とも、外資企業では欧州市場への輸出への対応のために外資企業の本社が工場及び調達の両方で指示を出して対応しているにすぎないことである。第3に、中国及びタイでも、循環型経済推進政策の基本的なアイデアは、ドイツや欧州連合、日本から学習したものであったが、ドイツ・欧州連合と日本の援助の間には、廃棄物最小化クラブの結成を通じた企業間の信頼関係の構築を重視するアプローチと、工場設備の更新を重視する重視するアプローチの相違があり、それが実践方式とパフォーマンスに少なからぬ影響を及ぼしたことである。
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環境経済・政策研究 1(2)
ページ: 26-36
森・植田・山本(編),『中国の環境政策 : 現状分析・定量評価・環境円借款』
ページ: 71-92