研究概要 |
土壌には多種多様な微生物が生息しており、生態系における栄養塩や金属元素等の物質循環に重要な役割を果たしている。そのため、土壌微生物群集の種構成や微生物活性の変化は、生態系の物質循環に影響することが予想される。本研究では、ガンマ線に暴露した水田土壌から溶出した元素やイオン濃度および微生物群集構造の変化について検討した。平成20年度は、微生物群集構造の変化について検討した。その結果、(1)ガンマ線に暴露した水田土壌にはファーミキューテス門の細菌が優先していたこと、(2)ガンマ線暴露(線量率:1Gy/day, 5日間連続照射)により細菌群集構造が変化すること、(3)Heliobacterium modesticaldumやClostridium cylindrosporumの近縁種がガンマ線暴露により減少すること、(4)マッシリア属、クロストリジウム属およびロドスピルム科に帰属すると推定される細菌がガンマ線暴露により増加すること、等が分かった。さらに、この土壌から放射線に反応した細菌の単離を試み、Massilia属に帰属する細菌の単離に成功した。単離細菌はMassilia timonaeに近縁であるがDNA-DNAハイブリダイゼーションの結果別種の可能性が示唆された。なお、本研究で得られた成果については、平成20年10月に千葉県にある放射線医学総合研究所で開催されたThe 7^<th> Japan-France Workshop on Radiation Biologyで報告を行った。
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