利用用途が限られており、未利用資源となっているタケ・ササ類を環境負荷の少ない酵素糖化処理によって資源化するため、今年度はモウソウチクを中心とした成分分析をおこない、早生資源としての特徴を把握し、マダケとともに酵素糖化率の評価を行った。森林総合研究所(茨城県つくば市)樹木園内のモウソウチクを伸長成長段階毎に収穫した。樹木園内のモウソウチクの大きさは、枝が伸長して皮が脱落するまでに平均10メートル超であった。地上より1メートル毎に伐採して中央部分の30センチをサンプルとしてチップ化した。その後の処理はマダケのときと同様に行い、ロータースピードミルで粉砕処理後に成分分析を行った。モウソウチクの成長に伴う成分変化は、概してマダケと同様であり、根元からのリグニン含量は枝が展開する時期には違いが無くなっていく傾向が認められた。構成糖成分もグルコースとキシロースが主であった。木質系バイオマスを処理するのに有効なセルラーゼ製剤であるメイセラーゼ(Trichoderma viride由来)で未成熟なマダケ試料を酵素処理すると、48時間の反応で多糖成分の70%程が糖化された。添加する酵素量の半分をキシラナーゼ製剤のセルロシンTP25に置き換えた場合、同様の反応で酵素糖化率は95%程度に上昇した。長さ8メートルのモウソウチクをメートル毎に区分した試料で同様の酵素糖化処理を行った結果、酵素糖化率と成分中のリグニン含量に相関性が認められ、枝が展開する前の試料を用いることで高い酵素糖化率を得ることができた。
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