1.細菌モデル化合物に対する影響評価 本研究の目的材料であるカチオン性ペプチド導入ビーズについて、まず、人工的な細菌モデル化合物に対する抗菌活性ビーズの膜崩壊能を評価した。 (1)一級アンモニウム型 ビーズ表面から樹状に伸びたペプチド鎖の世代が1世代と2世代の場合では、2世代の方がリポソームに対する膜崩壊能が高かった。また、ペプチド鎖のビーズ占有面積に比例して膜崩壊能が増大した。 (2)四級アンモニウム型 測定時、石英セルに四級アンモニウム型ペプチド導入ビーズの吸着が生じるという予期せぬ問題が生じ、正確な膜崩壊能評価を得ることができなかった。よって、次ステップの抗菌活性試験についてはビーズを修飾している樹状ペプチド(デンドリティックポリD-リシン)部位の抗菌試験を実施した。 2.2種類の病原細菌に対する抗菌活性試験 使用菌株は大腸菌Escherichia coliおよび黄色ブドウ球菌S. aureus 209Pを、デンドリティックポリD-リシンは二世代(分子量885)を使用した。抗菌活性試験を行った結果、デンドリディックD-リシン2世代の21.13 mg/mL以上の濃度で、2種類の病原細菌の顕著な生育阻害が観測された。以上の結果より、デンドリディックD-リシンをビーズへ導入した化合物は、抗菌あるいは静菌作用を有する可能性が示唆された。 3.生体適応材料としての試み 生体に適した抗菌剤・防腐剤を目指し、一級アンモニウム型のエラスチン誘導体を有する防腐剤の開発を試みた。生体および環境に適応した化粧品用防腐剤としての応用が期待される。
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