研究概要 |
様々な応用に期待される金ナノ粒子の粒径を制御することができるマイクロ流体システムの開発を目的とし,以下を実施した. (1)マイクロ流体デバイスの設計・製作 混合速度を制御するために,2つのマイクロポンプの駆動を高速で繰り返す脈動混合を用いた.そのため,マイクロポンプと混合用マイクロ流路を組み合わせたマイクロ流体システムを設計・製作した.マイクロポンプと幅30μm混合用マイクロ流路はシリコンの微細加工技術により作製した.作製したシステムを用いて流れの可視化により脈動混合と混合速度を評価した. (2)脈動混合により混合速度を制御した2液混合での金ナノ粒子作製 作製したマイクロ流体デバイスを用いて混合速度を変化させたときに金ナノ粒子が反応時間によってどのように成長するかを調べた.この時,混合速度と反応時間とともに溶液濃度・反応温度を変化させて金ナノ粒子生成のパラメータ依存性を明らかにした.生成された粒子は走査電子顕微鏡(SEM)を用いて粒径・粒径分布・粒子形状を評価した.その結果,混合速度を増加させると平均粒子径が増大した.最大で平均粒子径は約40nmであった.そして,混合速度,溶液濃度の増加により生成した金ナノ粒子の粒子径の標準偏差が最小9.6%に大幅に減少した.さらに,混合後の溶液を常温から70℃に加熱した結果,標準偏差が増加した.これは,温度変化により新たに金粒子の核が生成されたためだと考えられるため,今後,混合中での反応温度制御を可能とするシステムを構築することで,さらなる標準偏差の減少が期待できる.
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