本研究では、一次構造(粒径、形態)、並びに二次構造(粒子配列)が制御された貴金属(金、白金)ナノ粒子を自己組織的に固体基板上に実現することを目標とする。 本年度の成果は、(1)貴金属塩と界面活性剤の複合体からなる固液界面ナノ自己集合体(基板表面でミセルが自己組織化により規則配列した集合体)を実現し、(2)この固液界面ナノ自己集合体を反応場に利用して金、及び白金ナノ粒子を合成することに成功したことにある。 (1)固/液界面における半円筒状ミセルを反応場に利用した白金ナノ粒子の合成 弱塩基性の界面活性剤(ドデシルジメチルアミンオキシド)水溶液(10mM)に、グラファイト基板を浸すことにより、半円筒状ミセルが固/液界面に形成する。これに塩化白金酸を添加して白金塩と界面活性剤からなる複合体を界面で形成させることができた。この複合体中の白金塩をヒドラジンで還元することにより、白金ナノ粒子を基板上で合成することができた。この基板上で生成する白金ナノ粒子のサイズと配列は、塩化白金酸と界面活性剤のモル比に依存することが見出された。 (2)固/液界面ナノファイバー様集合体を反応場に利用した白金、及び金ナノ粒子の合成 強塩基性の界面活性剤(セチルトリメチルアンモニウム ヒドロキシド)水溶液(10mM)にグラファイト基板を浸すことにより、半円筒状ミセルが固/液界面に形成する。これに塩化白金酸を添加すると、形態が変化し、ナノファイバー状ミセルが界面で形成することが見出された。このナノファイバー状ミセルは、従来の界面吸着ミセルとは異なり、空気中でも、構造を維持し安定であった。この複合体中の白金塩をヒドラジンで還元することにより、白金ナノ粒子を高分散状態で基板上に生成させることができることがわかった。ナノファイバー状ミセルの形成は、塩化金酸の添加でも観測され、同様の手法で金ナノ粒子も基板上に生成させることができた。
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