MEMSデバイスを低温でパッケージングする技術について開発を行った。接合部の凹凸の影響を受けにくいパッケージングを実現する。また、接合層を薄膜化し、光干渉計等、平行度が要求されるパッケージング用途に応用できるようにする。今回、接合材料として、インジウムはんだを用いた。ガラス基板上に厚さ10nmのクロム薄膜、厚さ500nmのインジウム薄膜、厚さ20nmの金薄膜を真空蒸着したサンプルを用意した。接合対象として、ガラス基板上に厚さ10nmのクロム薄膜、厚さ50nmの金薄膜を真空蒸着したサンプルを用意した。接合層の厚さは600nm以下である。インジウムを含むサンプルは、予めガラス基板上に外径560μm、内径460μm、高さ20μmのリング構造をエッチングにより形成した後、金属を蒸着して形成した。これによって接触面積を一定にすることができるので、接合の評価の信頼性が向上する。これらのサンプルを接触させ、真空中で接合させた。接合時の荷重は120kPa、加熱時間は30分である。その後、引張試験を行い、接合強度を調べた。破壊後のサンプル表面を電子顕微鏡を用いて観察した。接合温度を200℃とした実験の場合、8回のうち6回接合に成功し、最大の引張強度は5.3MPa、最小の引張強度は2.0MPa、平均の引張強度は3.1MPaであった。300℃の実験の場合、8回すべての場合で接合に成功し、最大の引張強度は8.0MPa、最小の引張強度は2.4MPa、平均の引張強度は3.8MPaであった。これら得られた引張強度は、これまで報告されているインジウム薄膜の引張強度である2.6MPa、化合物として生成されるAuIn_2薄膜の引張強度である4.5MPaに近く、接合がよく行われていることを示している。また300℃で行った場合の方が、緻密な結晶粒が形成されており、接合強度が高くなっている要因と考えられる。
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