本年度はマルチスポットアレイ放射グレーティング結合器を集積した赤色半導体レーザを設計・作製して動作確認することに重点を置いて研究を行い、以下の成果を得た。 1.多焦点位相シフトグレーティング結合器の設計 2次元マイクロビーズアレイを1本のレーザで均一に照射できるよう、2次元マルチスポットアレイ放射グレーティング結合器を提案した。単焦点集光型グレーティング結合器のグレーティングラインに周期的な位相シフトを与えることで多焦点の表面放射光が発生できることを明らかにし、スポット径50μm、中心間隔400μmで光強度の等しい3×3のスポットアレイが得られる多焦点位相シフトグレーティング結合器の設計を行った。 2.マルチスポットアレイ放射赤色分布ブラッグ反射型レーザ GaInP量子井戸導波路を用い、多焦点位相シフトグレーティング結合器を集積した赤色分布ブラッグ反射型レーザを作製した。量子井戸選択的無秩序化により受動導波路吸収損失を低減するとともに、曲線走査電子ビーム描画と半導体微細加工により周期0.19μmの多焦点位相シフトグレーティング結合器を作製した。作製したレーザをCW駆動で測定し、グレーティング結合器から波長653nm、出力光パワー0.25mWの表面放射光が得られた。この表面放射光をCCDカメラで観察したところ、3×3の同程度の光強度のマルチスポットアレイが得られた。このときスポット径と中心間隔はほぼ設計通りの値となり、1本のレーザで2次元マイクロビーズアレイを励起可能なマルチスポットアレイ放射赤色半導体レーザの実現に成功した。
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