研究概要 |
界面制御分子、構造制御分子、機能制御分子の3種類の分子と、3つのステップから構成される自己組織化配線法を開発した。この配線法は、ナノスケールの電極間距離を持つナノ電極を、3種類の溶液に順次浸けていくだけの簡単な溶液プロセスだけから構成される。界面制御分子は、電極と結合し、構造制御分子と結合する化学反応点を持つπ電子系分子である。構造制御分子は、界面制御分子と機能制御分子との2つの化学反応点を分子の末端に持つπ電子系分子である。さらに、分子の構造を直線に保ち、電極に対する分子の成長方向を制御するためα-CDでπ電子系が被覆されている。機能制御分子は、構造制御分子と結合する化学反応点を分子の両末端に持つ分子である。3ステップ後、電流-電圧特性の測定を行った。ステップ1とステップ2の後に電流-電圧特性を測定したが、電流値は得られなかった。今回用いたナノ電極の幅が約40nmであり、電極の高さが約20nmなので、2つの分子ワイヤを直径約1nmの円柱と仮定すると、電極間には最大で1,000本の分子が存在すると見積もられる。機能分子としてスチルベンが導入された分子ワイヤの電気抵抗の温度依存を測定したところ、温度が減少すると電気抵抗が増加する熱活性型であることが分かった。一方、光スイッチ機能を持つジアリルエテンが導入された分子ワイヤでは、光スイッチ機能が確認された。また、ON状態の温度特性を測定したところ、スチルベンが導入された分子ワイヤと同様に、伝導機構は熱活性型であった。配向制御分子の分子長が長いため、配向制御分子における伝導機構はホッピングと考えられ、分子ワイヤ全体の伝導機構は配向制御分子のホッピング伝導に支配されると考えられる。
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