研究概要 |
高度な技術に支えられている現代社会において, 複雑な製品やシステムにおける品質の欠陥は, ときとして社会に大きな損害と被害をもたらす. このため, 品質を社会と消費者に対して保証する品質保証の概念が重要な意義を有する. 本研究では,品質保証を実現するための信頼性工学的側面からのアプローチの開発に着手した. 本年度は次の4つの視点において品質保証を実現するためのアプローチについて考察した. 1. 工程管理 これまでの研究において時系列工程解析法の理論について検討してきた. 本年度では, これまでの考察をもとに工程状態の構造変化時点の推定法にまで理論的考察を展開した. これについて一定の成果を得ることができた. また, 異常特性の特定法にまで考察を展開することができた. 2. 信頼性理論 システムにおける信頼性の計量的評価は重要な課題である. 特に近年ではシステムは複雑かつ大規模になることから, さまざまな故障過程が想定される. 本年度では, システムの状況に応じた修復政策を導入したk-out-of-n : Grepairable systemについて考察した. 特に, マルコフ過程に有効なグラフ理論に基づく解法を開発しその有効性を示すことができた. 3. 在庫管理 検査による不備, 輸送中の破損等から不適合品が納品先の在庫に混入する状況は必ずしも否定できない. このとき, 不適合品を顧客に配送したことによる社会的損失は非常に大きなものと考えられる. 本年度では, 不適合品の混入が在庫政策に与える影響について考察し, 一定の結論を得ることができた. 4. 製品検査 ボトルネット工程の存在から工程を並列化したりする場合は少なくなく, この場合検査システムの設計も重要な課題となる. 本年度では, 以上の状況下に対して, これまでに考察した製品検査法の適用, およびその経済的検査戦略について考察した. これに関して一定の成果を得ることができた.
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