研究概要 |
本年度は耐故障ソフトウェアの劣化・障害及び若化を表現するセミマルコフモデルを構築し,アベイラビリティを評価規範として最適なソフトウェア若化スケジュールを核密度推定によって実際に得られたデータからノンパラメトリックに推定するアルゴリズムを構築した.また,PC上でシミュレーション実験を実施し,核密度推定アルゴリズムの性能を評価した.この結果,核密度推定アルゴリズムの推定精度が従来の経験分布に基づいたアルゴリズムよりも非常に高いことを示すことができた.推定値の収束速度の観点においても従来のアルゴリズムよりも極めて速く,少数の障害データしか得ることができない場合においても有効に機能することが示された.さらに可変核推定を用いて核密度推定における固定ウインドウ幅を使用することの問題点を克服することも考えた.また,適応的核密度推定により,様々な特性を持つ障害データに対して適応的にウインドウ幅を決定することも考えた.なお,シミュレーション実験には今年度に購入したノートPC(ThinkPad T60)及び広島大学情報メディア教育センターに設置されているPCクラスタ/グリッドシステムを活用した. このような結果を踏まえ最終年度となる来年度はアベイラビリティだけでなく期待費用や総期待割引費用などを評価規範としたモデルに対しても同様に核密度推定によって最適ソフトウェア若化スケジュールを高精度に推定するためのアルゴリズムを構築したい.また,ノンパラメトリック予測推論に基づいた推定アルゴリズムの構築も行いたい.
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