研究概要 |
平成18年度において,政策シナリオと評価指標について検討を行い,システム構築の基礎となる地理情報データベースを作成した. 平成19年度は,前年度の成果を基に,1)システムの構築,2)システムの適用(浸水解析),3)自助促進方策の3つについて主に検討を行い,以下のような成果を上げた. 1.浸水被害軽減のための政策立案システムの構築 システムの枠組みを検討し,対策技術パート,解析パート,可視化パート,評価パート,経済性パートから成るシステムを考案した.対策技術は,公助,自助による貯留施設設置,浸透施設設置等を対象とした.評価因子として浸水量,浸水深,浸水面積とし,評価指標として交通安全度,避難安全度,家屋浸水安全度を定義した.本システムにより,現状における浸水危険箇所,脆弱箇所の抽出や対策技術の有効性が評価できる. 2.モデル流域における浸水被害軽減のための政策立案システムの適用 上述したシステムを用いて,浸水解析,可視化を行い,提案した評価指標を適用し,その有用性について考察を行った.その結果,本評価指標を適用するには,浸水解析のモデル化において,浸水深を精度良く表現することが重要であることを示した.今後はシステムの有用性について検討を行っていく予定である. 3.自助促進のための情報内容と提供方法のあり方 自助促進のために提拱すべき都市浸水に関する情報のあり方について,現状住民が有している都市浸水知識,自助,自主的防災行動,正常化の偏見等との関連性から考察した.その結果,地域に特化した情報として,浸水の危険性が高い地域であることや助成制度や個人できる自主的防災行動等,地域に関する都市浸水の具体的な情報を提供していくことが重要であること示した.
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