研究概要 |
本研究は,積雪寒冷地の自然条件・社会条件を考慮した地震危険度評価システムの実現を目的とするもので,3年間に亘って計画される研究の2年目にあたる。以下3項目について研究を進めた。 1. 積雪寒冷地における住宅の振動特性の把握(後半) 秋田市飯島緑丘公民館(木造軸組2階建住宅)を対象として,「一般耐震診断法」に基づく耐震診断と常時微動測定を行い,積雪寒冷地における住宅の耐震性を検討した。耐震診断と微動観測の結果は同様の傾向を示した。しかしながら住宅の固有周期については,鉄板葺きの屋根が用いられていることなどから,他の地域に比べ耐震性能の低い建物(評価点0.29)についても短いことが確認された。 2. 積雪寒冷地における振動特性の季節変化の観測 積雪寒冷地においては,地表面の凍結による卓越周期の変化などが考えられるが,これを実測的に計測した例はほとんどない。そこで,従来不変と考えられている地盤についても平成19年6月より4時間毎30分間の連続観測を継続的に実施している。観測は平成20年5月まで1年間行い,平成20年度に取り纏めを行う事とした。 3. 積雪期における道路交通障害シミュレーションシステムの開発 建物倒壊と堆積雪の状況から,道路閉塞状況をシミュレーションするシステムを開発した。秋田市に適用した結果,積雪期地震時では閉塞率が3.5倍程度増加した。また,地震後の対応のために迂回を強いられる地域や孤立する地域もみられ,防災上問題を抱えている実態を抽出した。
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