本研究は、積雪寒冷地の自然条件・社会条件を考慮した地震危険度評価システムを実現することが目的である。これまでに「積雪期の地震危険度評価に関わる関連資料の収集・整理」と「積雪期における道路交通障害シミュレーションシステム」が揃い、基盤となる仕組みを構築することができた。平成20年度は、実用性を検討するために、次の研究課題を遂行した。 1. 地震危険度総合評価システムの開発 地盤に関するデータベースの補強を行うと共に、地盤情報、積雪期における建物(住宅)と道路の状況、避難場所や医療施設の情報を統合した地震危険度総合評価システムを開発した。シミュレーションを行う際は、地震時と積雪期地震時を選択することができ、結果は都市計画図上(1/2500)に表示される。また、道路閉塞率も自動で計算・表示できるようにした。さらに道路ネットワーク解析機能を追加することで、道路閉塞の影響で幹線道路からの車両の到達が不能となる道路や建物、避難場所等を抽出し、表示できるようにもなっている。 2.市民・自治体を交えた地震危険度総合評価システムの啓発と検討 秋田市都市整備部建築指導課と連携し、「自主防災学習会」、「積雪期の地震対策シンポジウム」等を実施することで、市民や自治体の職員を交えた地震危険度総合評価システムの啓発と検討を行った。防災意識の高揚が図れた一方、過去に積雪期に発生した地震は非常に少なく、地震時の被害や対応、社会への影響について、既往の地震災害の理解をより深めたいとの要求が出された。また、耐震改修の優先順位を決定できるシステムに発展して欲しいとの要望も出た。
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