研究概要 |
災害時におけるレスキュー活動では,できるだけ早く被災者を安全な場所へと救助することが重要である.そこで,人間が入り込めないような危険な場所にすぐに救助に向かえる救助ロボットが注目されている.本年度では多数の小型のロボット(e-puck)を用いて,自律的かつ協調的に行動することで物体を運搬することを目的とした. (1)複数ロボットによる協調運搬のための経路計画手法の研究 協調的に物体を運搬する問題として,ゲームの倉庫盤のような環境を作り,2台のロボットが箱を初期位置から目標位置まで搬送する作業を対象とした,これは1台のロボットでは運搬することができない問題で,複数台のロボットが協調する必要がある.経路計画はRRT-ConConを使用し,(1)搬送経路の作成,(2)サブタスクの導出,(3)サブタスクの割り当てと経路計画の作成,(4)作成した計画の実行,の処理で協調的箱押し行動を実現した.実験環境の上からオーバーヘッドカメラを設置し,ロボットと箱の位置検出および障害物の検出を行い,搬送計画の作成とロボットの行動制御を行った.なお,独自に作成した問題において98.7%の精度で搬送に成功している. (2)遺伝的ネットワークプログラミング(GNP)による複数ロボットの協調行動の学習手法 GNPにおいて有効な部分解が破壊されにくい交叉方法を考案した. (3)協調ロボットのための制御アーキテクチャの研究 ロボットが互いに相手のことを考えて協調作業を行う方法として,これまでALLIANCEアーキテクチャが提案されている.このALLIANCEアーキテクチャを発展させて、「自信」や「不安」といった感情を用いて、自信があるときは一人で作業を行い、不安なときは他のロボットに作業を手伝ってもらうといったモデルを考案した.
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