離島火山から放出される二酸化硫黄濃度の遠隔自動観測システム開発にあたり、噴煙映像から風速を求めるためと、噴煙の高度情報をリアルタイムに提供するシステム開発のための研究を行った。最適な撮影条件を調べるための予備実験の結果に基づき、鹿児島県垂水市役所からの噴煙映像観測を開始した。撮影した噴煙映像から噴煙の移流高度と流向を決定するために、定常噴煙を噴煙輪郭モデルで表し、平面投影図をシミュレートするプログラムをVisual Basicにて作成した。その結果、一方向からの噴煙映像からでも噴煙の移流高度と流向を決定することが可能になった。 また、撮影した噴煙映像を用いて粒子画像流速測定法(PIV)による解析を行った。パラメータ設定の自動化にはいたらなかったが、事例解析を行った噴煙映像から移流速度を得ることができ、さらに上述したプログラムによって得られた流向と観測点との位置関係から風速を求める解析手法を開発した。得られた結果と高層風との比較より、妥当な結果が得られることがわかった。 三宅島2000年噴火以降解析を続けている島内の火山ガス環境についての解析を行った。気象庁などによって行われている火山ガス(二酸化硫黄)放出量の観測によると、放出量は明らかな減少傾向が認められるが、島内山麓における火山ガス環境の視点でみると、高濃度となる頻度はそれほど減少しておらず、強風による吹き降しがおきるときには、現在でもかなり高濃度となっていることが判明した。
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