航空機が火山灰煙と遭遇することによって発生する空中火山災害を防止する上で重要な、噴煙の高度情報をモニタリングするために、平成18年度に開発したVisual Basicプログラムの改良を行うとともに、多方向観測を行うためのネットワークカメラを新設した。その結果、より正確な噴煙高度が得られるようになった。 撮影した噴煙映像を用いて粒子画像速度計測法(PIV)により流速を求めるにあたり、平成18年度には過誤ベクトルが多く見られたため、解析精度を上げる方法を研究した。近赤外画像及び可視画像のRGB画像を用いて検討した結果、可視のR画像を用いることにより、解析精度を向上できることがわかった。 紫外線吸収を用いて二酸化硫黄濃度を求めるために、南西諸島の離島火山や桜島において紫外線分光観測装置を用いて予備調査・実験を行った。紫外線の吸収差を十分に観測できないことがわかったため、光学系を改良中である。平成20年度には三宅島において紫外線分光観測を予定している。 三宅島2000年噴火以降解析を続けている島内火山ガス環境についての解析を行った。島内山麓部の14箇所において測定されている二酸化硫黄濃度の1時間値を使用した。大局的には二酸化硫黄濃度は減少傾向にあるものの、二酸化硫黄放出量の増減および気象条件に対応して山麓の大気環境が変動、推移することがわかった。衛星データによる植生解析から高濃度地区における植生の回復が確認できたが、詳細な現地植生調査が必要であることがわかった。過去の衛星データ取得状況を調べたところ、島内全域の情報を得られやすいのは春季であることが判明したので、平成20年春季に現地調査を行う予定である。
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