平成18年度は、中小河川流域にて氾濫解析を行うための準備を行った。以下に、その成果をまとめる。 ■中小河川に起因する水害の情報収集 平成18年に発生した水害のうち、中小河川が本川に合流する付近で大きな被害が発生した、南九州の川内川および球磨川流域の水害について資料を収集した。また、同じく平成18年に発生した水害のうち、島根県松江市で発生した都市水害について、降雨量、浸水域、浸水深等に関する資料を収集し、市内河川である天神川やそれにつながる下水道による氾濫の機構について調査した。 ■対象領域の決定とモデル化 対象領域は、長崎県大村市を流れる二級河川である大上戸川(だいじょうごがわ)とする。流域は、長崎県の大村市の中心部を含む都市化の進んだ領域であり、大上戸川は長崎県の水位情報周知河川に指定されている。したがって、ひとたび洪水氾濫が発生すれば被害は甚大なものとなることが懸念されるが、この流域の洪水ハザードマップが未整備であることから、対象領域に決定した。 ■地盤高情報の作成 地盤高情報を作成する準備段階として、大上戸川流域の航空写真を入手した。また、航空写真から地盤高情報を作成するための、三次元写真測量システムを購入した。これらを用いた地盤高情報の作成は、来年度に行う予定である。 さらに、氾濫解析を行うための三角形非構造格子を、デローニー三角形分割法に基づいて自動的に作成するツールを開発した。このツールを、島根県松江市での氾濫解析対象領域、および川内川の平面二次元洪水流解析の対象領域に適用し、複雑な領域境界を考慮した適切な非構造格子が作成されることを確認した。
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