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2007 年度 実績報告書

定点連続観測と地表面計測の融合による地すべり土塊の移動-変形機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18710158
研究機関独立行政法人森林総合研究所

研究代表者

岡本 隆  森林総合研究所, 水土保全研究領域, 主任研究員 (30353626)

キーワード浅層地すべり / 自動観測 / 変位 / 変形 / 積雪荷重
研究概要

本研究の主要手法の一つである定点連続観測を用いた変形機構の解明を目的として、新潟県上越市の伏野地すべり試験地内に設置した2箇所の孔内多層移動量計の日観測結果を元に、地すべり土塊の変形過程を2年間にわたり解析し、以下の結果を得た。
地すべり移動は、降雨と融雪の増加する秋期から積雪初期にかけて増大し、それにともなって土塊は引張側に変形(膨張)した。積雪期になり積雪層が発達すると地すべりは一時的に停止するが、続く融雪期には再び緩慢な変位が生じた。しかしこの時の変位量は、土塊の上部-下部間でほぼ等しく、地すべり土塊は変形せずに一体となってすべり面上を滑動した。このように地すべりの移動にともなう土塊の変形は、秋期から積雪初期にかけてと融雪期の2期間で対照的な様相を示した。移動にともなう地すべり変形特性が期間によって異なる要因を明らかにするため、降雨、融雪量と変形量の応答特性を全期間にわたって解析した結果、秋期から積雪初期にかけての引張変形の増大要因は、誘因である絶対降雨、融雪量に加え、降雨、融雪に対する応答変形が鋭敏化するためと考えられた。
地すべりの変形が積雪環境に強く影響を受ける観測結果を踏まえ、その変形機構を無限長斜面の安定解析等による物理的側面から検討した。その結果、地すべりの変位、変形を抑制する要因は以下の3点によると考えた。1)積雪載荷がすべり面のせん断強度の増加をもたらし、積雪期の変位、変形を抑制する、2)積雪層が地表面を間接的に連結するネット効果を発揮し、積雪期の変形を抑制する、3)積雪期の長期的な積雪載荷がすべり面を圧密し、これにともなって回復したせん断強度の効果が春期から夏期にわたって継続的に発揮され、同期間の変位、変形を抑制する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 積雪地域における浅層地すべりの変形機構2008

    • 著者名/発表者名
      岡本隆、松浦純生、浅野志穂
    • 雑誌名

      日本地すべり学会誌 44巻6号

      ページ: 20-30

    • URL

      http://www.jstage.jst.go.jp/article/jls/44/6/358/_pdf/-char/ja/

    • 査読あり
  • [学会発表] ガウジのせん断分極特性(SIP)と野外への適用2007

    • 著者名/発表者名
      中川康一(大阪市立大学)、塚偉(NTTデータ)、山田茂伸(ヤンマー)、川添栄計、吉岡真弓(東京大学)、岡本隆
    • 学会等名
      日本応用地質学会平成19年度研究発表会
    • 発表場所
      大阪市立大学
    • 年月日
      2007-10-12
  • [学会発表] 地上型レーザ測量による第三紀層地すべりの高密度変位・変形計測2007

    • 著者名/発表者名
      岡本隆、松浦純生、浅野志穂
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2007年大会
    • 発表場所
      幕張メッセ
    • 年月日
      2007-05-20
  • [学会発表] 航空レーザスキャナを用いた山地の積雪深分布計測における異常値の発生要因2007

    • 著者名/発表者名
      岡本隆、松浦純生、浅野志穂、大丸裕武
    • 学会等名
      第118回日本森林学会
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      2007-04-03

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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