研究概要 |
まず腫瘍組織内のアレル不均衡を正確に決定するため腫瘍率の高い肝細胞癌サンプルを末梢血のDNAとともに、5万点の高密度の情報が取れるオリゴヌクレオチドアレイを用いて、アレル別コピー数解析を行った。その結果通常のコピー数解析では見ることの出来ないアレルの不均衡減少(uniparental disomy)が多数観測され、また腫瘍内のheterogeneityを反映したと思われる、整数では説明のつかないコピー数も多数観測された。約40検体のサンプルを解析し、1q,5P,5q,6p,7q,8q,17q,20qの領域で有意なコピー数の増加、また1p,4q,6q,8p,10q,13q,16p,16q,17pの領域においてLOHに代表されるアレルの不均衡が観測された。また6q24-25の領域についてはもともと刷り込み(imprinting)領域でアレル別に発現差がみられるところであるが、この領域についてはメチル化により発現が低い方のアレルが選択的に落ちていることが観測され腫瘍組織全体の発現量も低下していた。それとは別に遺伝子発現量全体とゲノムのコピー数との比較を行ったがゲノムのコピー数が遺伝子発現に大きく影響していることが観測された。
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