研究課題
肺癌におけるc-Metの活性化とゲノムのコピー数の関連を調べるために、14細胞株におけるc-Metのリン酸化の状態を調べた。14細胞中、5個の細胞株でc-Metが恒常的にリン酸化されていることがわかった。これらのうち2個の細胞株でc-Metの遺伝子にゲノムの増幅が見られた。この細胞株のc-Metのリン酸化はリガンド非依存的であり、ゲノムのコピー数の増加が肺癌の恒常的シグナル活性に重要であることが示された。またアレル別のコピー数解析においては、増幅部位は非常にシグナルが強くデータの歪みが生じうることが考えられさらなる改良が必要であることが示された。また子宮体癌25例のアレル別ゲノムコピー数解析においては、染色体の不安定性を持つものとそうでないものとの差が比較的明瞭に分かれた。染色体不安定性をもつものは、総コピー数としての差はないもののアレル不均衡の状態であるUPD(uniparental disomy)が頻繁に観測され何らかのメカニズムが存在することが推測された。また染色体不安定性がない症例では、ゲノムのコピー数が全く観測されないものも見られコピー数以外のメチル化、配列変異による基序が推測された。参考としてそれらのマイクロサテライト不安定性を調べたところ、染色体不安定性と逆相関することがわかった。また予後との相関を解析すると、染色体不安定性のあるものでは比較的予後が悪いことが示唆されたが、統計的有意性を出すためにはさらに検体数を増やすことが必要と判断された。
すべて 2007
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Cancer Science 99
ページ: 14-22