高効率なクローニングのために2つのcIカセット(cI-spcとcI-BS;λファージ由来のcIリプレッサー遺伝子とスペクチノマイシン耐性遺伝子またはブラストサイジン-S耐性遺伝子を含むカセット)を組み込んだBGMベクター、BEST6528を構築した。カセット間のスペーサーとしてシロイヌナズナのミトコンドリア由来のDNA断片(100kb)を用い、両カセットが相同組み換えによりポップアウトして脱落しないように、お互い逆向きに挿入されていることをパルスフィールド電気泳動及びサザンプロット解析により確認した。続いてBEST6528をもとにスペーサーの適当な部分を欠失させ、両カセット間の距離が75kb、50kbとなった2つのBGMベクター、BUSY3224とBUSY3225を構築した。これら3株を用い、BAC-Tc(テトラサイクリン耐性遺伝子をインサートとして持つ約8kbのBACクローン)に対する形質転換効率を検証した。その結果スペーサーが長くなるとともに若干コロニー数の減少が見られたが、バックグラウンド(false positive)は全く出現せず、2つのcIカセットを組み込んだBGMベクターは予想通り効果的なクローニングに適していると考えられた。さらにBEST6528(スペーサー100kb)を用いてマウスゲノム198kbと220kbをインサートに持つBACクローンに対してクローニングを試みたところ、cIカセットを1つ持つこれまでのBGMベクター、BEST310ではクローニングできなかったこれらのBACクローンをBGMベクターに組み込むことができ、巨大DNAに対する効果的なターゲットクローニングが可能であることが示された。これらの結果は現在論文として投稿準備中である。
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