研究概要 |
本年度は、シアル酸含有糖ペプチドの調整並びに混合物の試料を用いてシアル酸糖ペプチドの解析を行った。 1)単一糖タンパク質(AFP, Firinogen, EPO)由来のシアル酸含有糖ペプチドの効率的捕捉と切断(遊離)。 糖タンパク質のトリプシン消化物を1mM過ヨウ素酸ナトリウム溶液を用いて氷冷下で15分間酸化した。次に、反応液をポリアクリル酸型のアミノオキシ担持樹脂を用いて、シアル酸含有糖ペプチドのみを選択的に単離収集した。捕捉した糖ペプチドは、3%TFA溶液を用いてシアル酸部位で切断を行い、糖ペプチドを回収し、MALDI TOF-MSによる解析を行った。 3)血清中のシアル酸含有糖ペプチドの選択的捕捉と切断(遊離)。 マウス疾患モデルマウスの血清試料のトリプシン消化物を1mM過ヨウ素酸ナトリウム溶液を用いて氷冷下で15分間酸化した。次に、反応液をポリアクリル酸型のアミノオキシ担持樹脂を用いて、シアル酸含有糖ペプチドのみを選択的に単離し回収した。捕捉した糖ペプチドは、3% TFA溶液を用いてシアル酸部位で切断を行い、糖ペプチドを回収し、MALDI TOF-MSによる解析を行った。 本プロジェクトにおいて得られた成果は、Angew. Chem. Int. Ed (2007)に発表させて頂きました。 本法は、非還元末端にシアル酸を有する複合糖質の網羅的なエンリッチが可能であり、かつペプチドおよび糖鎖の配列を同時かつ大規模に取得可能な唯一の方法論であることから、グライコプロテオミクスにおける基盤技術になることが期待される。
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